遺言書の種類と効力
■ 遺言書について
人は、死亡すると財産を相続しなければなりません。しかし、亡くなった人は財産の処分をすることができません。
そのために遺言という制度が活躍します。遺言とは、被相続人(相続される人)が自身の財産について死後、誰にどのように処分するのかを生前のうちに定めておくことを言います。遺言を残す方法としては、民法で定められている方式に則る必要があります。
民法では、遺言の方式を遺言書で行うことを求めています。遺言書にはさまざまな種類が存在するので以下で説明したいと思います。
■ 遺言書の種類について
遺言書の種類は民法で定められているもので、普通方式遺言と特別方式遺言の2種類に大別されます。
⑴ 普通方式遺言
普通方式遺言とは、簡単に言えば、一般的になされる遺言方式のことです。
普通方式遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類が存在します。
① 自筆証書遺言(民法968条)
自筆証書遺言とは、その名の通り、被相続人が自筆で遺言書を作成する方法のことを言います。
遺言書の作成方法は民法968条に規定された方法で作成しなければ遺言書としての効力がないものとなってしまうので、注意が必要です。
自筆証書遺言のポイントは、被相続人が自筆で遺言内容を記し、作成した日付、氏名、印鑑の押印が必須になります。
普通方式遺言の中でも最も一般的な方法であると言えます。
② 公正証書遺言(民法969条)
公正証書遺言とは、公証役場において、公証人が作成する遺言書のことを言います。
公正証書遺言の作成には、被相続人と証人2人が公証役場に赴き、公証人の前で遺言内容を話し、これを公証人が遺言書として作成します。
公証役場を介入した作成方法なので、遺言書の有効性が担保されます。
自筆証書遺言に比べ、費用などはかかりますが、遺言書の確実性が非常に高い点でメリットを含んでいます。
③ 秘密証書遺言(民法970条)
秘密証書遺言とは、内容を秘密にしたまま、遺言の存在だけを公証役場に確認してもらう方法のことです。
あまり使用される機会はありませんが、このような方法も存在します。
⑵ 特別方式遺言
普通方式遺言以外に、特別方式遺言があります。これは、普通方式遺言では間に合わないような特殊な事情が存在する場合に利用される方式です。例えば、疫病によって死亡の危機が差し迫っている状態や、船舶に乗船している時、船舶乗船中に遭難してしまい、死亡の結果が差し迫った場合などに利用されます。
■ 遺言書の効力について
作成した遺言書が民法で要請された方式に則って作成されていたならば、当然有効な遺言書として扱われます。しかし、自筆証書遺言のような被相続人自身が作成する遺言書などは、自筆していない(パソコンなどで作成した)、作成日付、署名の記入漏れ、押印をしていなかったなどの不備があるとその遺言書は無効になってしまうこともあります。
したがって、有効な遺言書を作成するためには、民法で定められた方式に則った適切な遺言書を作成するように心がけるようにしましょう。
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